日本ハンセン病学会雑誌
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原著
ガーナ共和国アシャンティ州におけるブルーリ潰瘍と国民健康保険制度の実態
新山 智基
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2012 年 81 巻 3 号 p. 185-189

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抄録

 本稿の目的は、ガーナ共和国内のブルーリ潰瘍の実態と、保健医療に関連する制度である国民健康保険制度との関係を明らかにすることである。
 1998 年に設立されたGlobal Buruli Ulcer Initiative を契機に、ガーナ共和国のブルーリ潰瘍対策は、National Buruli Ulcer Control Programme(NBUCP)によって管理・運営されている。ブルーリ潰瘍の治療に関連する費用(患部切除の手術や抗生物質投与に関わる処置など)は無料であり、国家予算と支援組織による寄付金によって運営されている。2003 年に開始された国民健康保険制度は、ブルーリ潰瘍を含む多くの病気が適応外である。そのため、国民健康保険制度を利用した治療は行われず、すべて NBUCP による費用で治療を行わなければならない。
 しかし、治療費に関する費用のなかには、包帯などの関連する費用は含まれず、これに対して病院が自己負担しているケースも少なくない。また、運営予算のほとんどが支援組織による寄付によるものである。その実態は、国際援助に依存していることが明らかとなった。

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© 2012 日本ハンセン病学会
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