日本ハンセン病学会雑誌
Online ISSN : 1884-314X
Print ISSN : 1342-3681
ISSN-L : 1342-3681
原著
ベトナムのハンセン病村に住む子どもたちのQOL
渡辺 弘之Vu Tuan AnhHuynh Cong AiTran Xuan VyTran Sy DuyTran Quang TienHo Thu Linh
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 89 巻 1 号 p. 1-11

詳細
抄録

 本研究はベトナム国内のあるハンセン病村在住の元患者の子どもたちを対象とし、子どもの包括的健康尺度であるKid-KINDLRベトナム語版を用い、そのQOLについて測定した。また対照群として一般地域の子どものQOLを測定した。一般群との比較では身体的健康、友だち、QOL総得点の項目において元患者の子どもたちのスコアが有意に低かった。また小学生では両群の間に有意差がみられないが、中学生では身体的健康とQOL総得点、高校生では身体的健康と学校生活において元患者の子どもたちのスコアが有意に低かった。元患者の子どもたちのQOLスコアを性別で比較すると、中学生では自尊感情と家族、高校生ではQOL総得点の項目において男子生徒が有意に低かった。元患者の子どもたちの場合、そのQOLは中学生の時期から低下がみられることから、身体的健康、自尊感情、家族関係に配慮が必要であることが明らかとなった。

著者関連情報
© 2020 日本ハンセン病学会
次の記事
feedback
Top