日本らい学会雑誌
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マウス腹腔マクロファージーりん脂質脱アシル化活性への 貪食の影響(第1報)
松木 玄二柏原 嘉子中川 弘子
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58 巻 (1989) 4 号 p. 259-269

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抄録

グリセロールの1位あるいは2位の炭素に[1-14C]オレイン酸を導入したホスファチジルエタノールアミン(PE),ホスファチジルコリン(PC),および1-[1-14C]オレオイルリゾホスファチジルエタノールアミン(Lyso PE)を基質として用いて,マウス腹腔浸出液より採取したマクロファージ(MΦ)に5種類のりん脂質脱アシル化活性を検出した。
至適pHをpH4~6又はpH8に有する二つのタイプのphospholipase A1および至適pHを,pH4~5又はpH8に有する二つのタイプのphospholipase A2活性がそれぞれ識別された。また,検出されたlysophospholipase活性は,pH4と8の間に幅広い至適pHを示した。
MΦ-phospholipase A1およびA2はPCよりPEをよく水解した。
MΦを鼠らい菌,大腸菌,ザイモサンおよびラテックス粒子により,37°C,17時間challengeした後に,三種のMΦのりん脂質脱アシル化活性(pH8)の比較を行った。用いた細菌は,オートクレーブ処理を行った。
MΦが,鼠らい菌でchallengeされた時にphospholipase A1,A2およびlysophospholipase活性は,それぞれ約160%,150%,および140%上昇した。しかしMΦに大腸菌をchallengeしたときにはMΦ-phospholipase A1活性は約1/3に低下した。この際phospholipase A2活性はMΦを鼠らい菌でchallengeした場合と類似して,約150%に上昇した。
炎症性物質,ザイモサンはMΦ-phospholipase A1の効果的inducerであった。ザイモサン200μgでchallengeした際にphospholipase A2活性は260%上昇した。
細菌やザイモサンで処理したMΦにみられたphospholipase A2活性の上昇は,炎症性のアラキドン酸の酸素添加代謝物を合成するためにMΦりん脂質からのアラキドン酸の水解の増大を導くように見える。
MΦ-lysophospholipase活性の上昇は鼠らい菌によるchallenge以外は認められなかった。
ラテックス粒子によるchallengeの後に三種のMΦりん脂質脱アシル化活性の上昇は認められなかった。
以上の結果,pH8に活性を示すMΦのりん脂質脱アシル化活性は貪食された物質により種々の影響を受けることが考えられた。

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