日本ハンセン病学会雑誌
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ハンセン病の早期診断に関する検討:皮膚塗沫菌検査法と血清診断法との比較
Abraham T. Agdamag遠藤 真澄川津 邦雄和泉 眞蔵
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キーワード: 皮膚塗沫菌検査法
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1996 年 65 巻 2 号 p. 100-105

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抄録

筆者(A. A)が所属しているDr. JoseN. Rodriguez記念病院(フィリピン)においては,皮膚塗沫菌検査法による菌指数がハンセン病の診断法として日常用いられている。しかし,本方法は患者に苦痛を与え,検査者によって結果が安定しないなどの問題から,より簡便で信頼性のある方法が望まれている。そこで今回,同病院の未治療ハンセン病患者90名について,菌指数による診断と,MLPA法•ELISA法によるPGL-1に対する抗体価との相関について検討した。
MLPA法は,市販の測定キット(セロディアレプラ)を用いた。PGL-1に対するELISAは,既報の方法に従い行った。両検査方法による結果の一致率を,agreement rateで表した。その結果,皮膚塗沫菌検査法とMLPA法との間のagreement rateは88.1‰, ELISA法とのそれは96.2‰であり,いずれも良い相関を示した。したがって,簡便でありしかも多量の検体が処理できるMLPA法•ELISA法は,有用なハンセン病の診断法として活用できると考えられた。

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