日本ハンセン病学会雑誌
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癩腫より分離、培養された抗酸菌HI-75のゲノム解析
16SリボゾームRNAのダイレクトシークエンシング
阪井 哲男松尾 英一脇坂 晟
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1996 年 65 巻 3 号 p. 180-185

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抄録

Skinsnesらにより,1975年に,癩腫より分離され,その後培養を続けた抗酸菌M. HI-75の種の同定の目的で,16SリボゾームRNAをRT-PCRにて増幅し,DNAのダイレクトシークエンシングを行った。細菌の種特異的な可変領域を含む973塩基の配列を,M. HI-75のシーケンスと,Gen-Bankその他のData base上の他の抗酸菌と比較検討した。M. HI-75は5塩基,即ち0.5%の相違をもって最もM. scrofulaceumに近似していた。
一方,佐々木らによれば,M. HI-75はヌードマウス等の末梢神経に侵潤する。この性質はM.lepraeに特徴的であるとされている。よって今回の検索の結果,M. HI-75は癩腫の原因菌のひとつでありえるのか,またはM. scrofulaceumも末梢神経病変を起こすのかを検索する必要性が示唆された。

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