日本ハンセン病学会雑誌
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コードファクター(trehalose 6,6'-dimycolate)を抗原とする酵素抗体法によるハンセン病の血清学的診断
王 麗姫和泉 眞藏賀 華藤原 永年斎田 典夫矢野 郁也小林 和夫巽 典之
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1999 年 68 巻 3 号 p. 165-174

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抄録

結核菌より分離・精製したコードファクター(trehalose 6,6'-dimycolate)を抗原とする酵素抗体法により、スメァ陽性並びにスメァ陰性ハンセン病患者65名の血清抗コードファクターIgG及びIgM抗体価を測定した。健常人60名の血清抗体価(100%陰性)と比較したところ、スメァ陽性患者21名中21名(100%)が陽性、スメァ陰性患者44名中37名(84%)が陽性であった。このことは、ハンセン病の血清診断に汎用されてきたphenolic glycolipid-Iを抗原とする凝集反応に比して感度及び特異性が優れており、かつ、再現性も良く、簡便なことからハンセン病の迅速血清診断に適しているものと考えられる。臨床的に、明確に病型分類可能であった34例について、抗コードファクター抗体価を比較したところ、抗体価はLL>BL>BT型であり、体液性免疫反応の程度と並行して変動することが明らかとなった。さらに、単一サブクラス(α,メトキシ又はケト)ミコール酸からなる半合成コードファクターを用いて患者血清との反応性を検討したところ、ハンセン病患者では、α-ミコール酸コードファクターに最も高い反応性を示し、ケトミコール酸コードファクターにも反応性がみられたが、結核菌に特有のメトキシミコール酸コードファクターには反応性が極めて低かった。単一サブクラスのミコール酸からなるコードファクターを抗原とする酵素抗体法はハンセン病の鑑別診断に有用であることが示唆される。

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