日本ハンセン病学会雑誌
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細胞内寄生菌に対する防御免疫
光山 正雄
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2000 年 69 巻 2 号 p. 83-86

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抄録

結核菌、らい菌、リステリアなど、いわゆる細胞内寄生菌は、宿主のマクロファージに貧食されてもその細胞内殺菌に抵抗し、また殺菌機構を持たない非食細胞系細胞内に侵入して生存増殖する。化膿性感染を起こす細胞外寄生菌の多くは、食細胞の細胞内殺菌に抵抗できないので、貧食をエスケープするために莢膜で異物識別を免れようとするが、宿主のオプソニン抗体があれば貧食が進行する。さらにこの種の菌は何らかの毒素を産生して病像を形成するので、毒素中和性抗体は宿主防御に極めて有効である。一方、細胞内寄生菌の大半は貧食に抵抗せず、むしろ好んでマクロファージ系食細胞に取り込まれるようにみえ、病像に直接関与する毒素の産生も著明ではない。従って抗体が産生されても宿主防御には役立つことがなく、T細胞依存性の防御免疫が重要となる。

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