日本ハンセン病学会雑誌
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草津湯の沢ハンセン病自由療養地の研究I―湯の沢部落概観―
森 修一加藤 三郎横山 秀夫田中 梅吉兼田 繁
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2003 年 72 巻 1 号 p. 11-25

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抄録

本研究は戦前、日本に唯一存在したハンセン病患者の自由療養地である群馬県吾妻郡草津町湯の沢部落の社会科学的分析の中から、何がハンセン病患者の隔離の二つの側面である「迫害されている患者の社会の圧力からの保護」と「感染源である患者からの社会の防衛」のダイナミズムを後者への優位に導いていったのかを明らかにすることを目的とするものである。その過程は湯の沢部落の実態の解明(「草津湯の沢ハンセン病自由療養地の研究I、II」)、自由療養地議論の展開と消滅の過程の検証と湯の沢部落の関わり(「草津湯の沢ハンセン病自由療養地の研究III」)、湯の沢部落消滅後にその精神が日本の隔離政策に与えた影響(「草津湯の沢ハンセン病自由療養地の研究IV」)などの研究の総体である。
本稿では湯の沢部落がどのようなコミュニティーであったのかを概説した。ここで見る湯の沢部落は、病者の集団というイメージではなく、一般人のコミュニティー以上に活気があり、自治のシステム、施設等が完備された先進的なコミュニティーであった。

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