日本ハンセン病学会雑誌
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ミャンマーのハンセン病コロニーにおける若者に対する職業訓練のニーズアセスメント
石田 裕San SHWELeLe WINKyaw MYINT
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2007 年 76 巻 3 号 p. 197-206

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抄録

ハンセン病による障害の予防・悪化予防とリハビリテーションはミャンマーの三つのハンセン病対策の戦略の一つである。著者らはハンセン病コロニーに在住している若者達の収入向上の技術研修のニーズを明らかにするために、調査を行った。この調査から対象のヤンゴン管区マヤンジャウン村の若者達は、何らかの収入獲得のための技術研修を受けたがっていることが判明した。また彼らは短期間の研修では十分ではないことを知っており、研修終了後に可能な機会を得て技術を高めるための更なる訓練の機会を得たいと思っていた。彼らは収入向上の技術面は良く理解できたが、しかし、研修後の更なる訓練のための材料の調達、市場獲得、就職の機会の獲得に関しては、良く想像出来なかった。彼らは、村と外部の顧客や小売商人の間を取り持つ仲介者が彼らの助けになると考えていた。一方、障害を持つ年寄り達は、若者達に村にいて彼らの世話をしてくれることを望んでいた。この結果に基づき12日間の縫製研修 (基礎コース) を行い、32名が受講した。研修後、村落内に12台のミシンで縫製所を新設、小学校の制服の受注し作業を順調に行っている。ニーズに基づいた研修は、社会的リハビリテーションを促進させる過程で重要であることの例と考えられる。

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