J-STAGE トップ  >  資料トップ  > 書誌事項

高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
Vol. 23 (2003) No. 2 P 138-148

記事言語:

http://doi.org/10.2496/hbfr.23.138

原著

12歳で発症した13歳の小児失語例の失語,失読症状を精査した。失語は早期に日常会話レベルに回復したが,低頻度語の呼称や短文の復唱に障害がみられ,読み書き障害が残存した。初期の失読症状には意味性錯読,心像性効果,語彙性効果などがあり深層失読の特徴が観察されたが,仮名語,仮名非語から回復し,漢字語の音読に障害が残った。漢字熟語の音読では,親密度,頻度,心像性,一貫性が低い熟語の成績が悪かった。また訓読み熟語に比べ音読み熟語の成績が悪かったが,双方において心像性効果,一貫性効果があったことから,意味経路および漢字を音韻に直接変換する音韻経路の双方が使われていることが示された。心像性効果,一貫性および音訓効果から意味経路と音韻経路の双方が不完全に機能しているとも考えられたが,良好な理解と非語復唱の障害から,音韻障害が失語,失読症状の基盤にあると推測された。

Copyright © 2003 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会

記事ツール

この記事を共有