2006 年 26 巻 2 号 p. 156-168
復唱という言語モダリティについて,とくに言語情報入力の処理と,入力された言語情報の把持という処理に焦点を当て,生理心理学的立場から論じた。復唱における入力の処理過程を認知神経心理学的観点から分析したモデルに基づき,音響処理·音韻処理·語彙処理·意味処理の 4水準に,一時的な音響⁄音韻情報把持に必要な残響記憶を加えた計 5つの水準について,それぞれの水準の障害で生じる臨床像と推定される障害メカニズムについて,症例に基づいて報告した。また,臨床症状から推定した各処理水準における障害メカニズムの妥当性を,電気生理学的に検証する方法について探った。