高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
「伝導性失行」と姿態模倣障害
近藤 正樹望月 聡小早川 睦貴鶴谷 奈津子河村 満
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2008 年 28 巻 4 号 p. 352-360

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抄録

  本研究ではAlzheimer 病が疑われる症例(64 歳,男性,右利き)にみられた伝導性失行を報告した。失行検査(自動詞的行為では口頭命令条件,模倣条件で検討した。物品を使用する他動詞的行為では口頭命令条件,検者の動作を模倣する模倣条件,物品が視覚提示されるが触れずにパントマイムを表出する視覚提示条件,実使用条件で検討した。),姿態模倣検査(4 課題,手指形態模倣 : 手の位置や手首の形を一定にし,手指の形が異なるものを模倣する。手位置模倣 : 手指形態を一定にし,手の方向と頭部顔面に対する位置を模倣する。Head 試験 : 手—眼—耳試験,一側の上肢・手を用いて身体部位を指さす。Grunbaum 試験 : 両側の上肢・手を同時に用いて身体部位を指さす。) を実施した。失行検査では,他動詞的行為のパントマイム模倣に選択的な障害を呈した。また検査者の姿態形態を模倣する姿態模倣検査では,手指形態・方向・位置や身体部位定位の誤りに加え,左右の混乱や交叉の欠如,鏡像動作が認められた。他者の身体部位情報を自己の身体部位情報に変換する過程での障害が示唆され,これが伝導性失行出現の一要因となっている可能性がある。

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© 2008 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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