高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
口舌顔面失行を伴う交叉性 Broca 失語の一例
堀部 有三高橋 伸佳河村 満
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2010 年 30 巻 4 号 p. 533-538

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抄録

右中心前回中下部および右下前頭回弁蓋部の限局性病変により,口舌顔面失行を伴う交叉性 Broca 失語を呈した一例を経験した。本症例は失語症状と右半球病変との関連が,右利き左半球病変による失語と一致する鏡像型交叉性失語と考えられた。口舌顔面失行についても,誤反応の性質が左半球病変による運動性失語に伴う場合と類似し,いわば「鏡像型」であった。本症例は言語機能が右半球に側性化した場合でも,言語の半球内分化が左半球と同様の形で極めて限局性に存在しうることを示唆するものと思われた。

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© 2010 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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