高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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教育講演 4 : 失語―書字面
失語 : 書字面
佐藤 睦子
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キーワード: 失語, 書字, 想起障害, 選択障害
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2011 年 31 巻 2 号 p. 198-204

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抄録
文字の読み書き機能は口頭言語の獲得と密接に関わっている。そのため,「聴く」・「話す」・「読む」・「書く」のすべての言語様式が何らかの機能低下をきたす失語症の場合,書字の症状には書字機能自体の問題のみならず語想起障害など他の言語様式の困難さが反映されることが少なくない。書字の脳内機構を論じた大槻 (2006) によれば,書字達成には左中前頭回,左頭頂葉 (上頭頂小葉,角回) ,左側頭葉後下部がさまざまなレベルで関与している。これらの領域は失語症をもたらす Broca 野や Wernicke 野に隣接していることから,失語症例で書字障害をきたすのは必然である。本論では,失語症におけるさまざまな書字障害の実例を提示した。
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© 2011 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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