高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
健常成人の呼称機能 ─年齢・性・単語属性の影響と誤反応パターンの検討─
佐藤 ひとみ
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2013 年 33 巻 3 号 p. 364-373

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抄録

健常成人88 名(23─63 歳)の呼称能力を,「生物」と「人工物」カテゴリーに属する単語(各々7 つの下位カテゴリーから選択)の成績が比較できる線画呼称課題(120 語)を用いて検討した。平均正答率は97.2%で,内2.9%は自己修正が占めた。呼称成績は,頻度(高頻度>低頻度)の影響を強く受けたが,意味カテゴリー(人工物>生物)と年齢(40 歳以上>39 歳以下)の影響もみられた。さらに,意味カテゴリーと性の交互作用があり,低頻度語・「生物」では男性の成績が有意に低下した。14 の下位カテゴリーの内,性差がみられたのは「花」(女性>男性)と「地上の乗り物」(男性>女性)であった。誤反応は被験者の85.2%でみられ,約92%は意味的関連のある反応(そのほとんどが目標語と同じ意味カテゴリーに属する意味的類似語,69.9%)であった。また誤反応は,目標語よりも頻度/ 親密度/ 心像性のいずれかが高い単語となる傾向がみられた。多変量解析の結果,誤答の生起を予測するのに寄与した属性は,心像性と意味カテゴリーであった。これらの結果を,認知神経心理学的観点から考察した。

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© 2013 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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