2014 年 34 巻 2 号 p. 218-225
立位が半側空間無視検査に及ぼす影響についての報告はない。本研究では,脳梗塞患者9 名(男性 3 名・女性6 名,年齢73.4 ± 4.1 歳)を対象とし,姿勢の違いによる半側空間無視検査への影響を検討した。 選択基準は意識障害がない,右利き,梗塞巣が右半球にある左片麻痺者,検査を遂行できる症例とした。 方法は,臥位・座位・立位の各姿勢で半側空間無視検査であるBells Test,Line Bisection,Scene Copy,星印抹消試験を実施し,各々の検査結果を比較した。検査はすべて同日中に実施し,姿勢の順序は無作為に決定した。座位より立位で検査結果が改善した(p <0.05)が,臥位と立位では差を認めなかった。立位により脳梗塞患者の空間性注意の病的な右方偏倚が改善している可能性がある。これらの知見は,筋紡錘やゴルジ腱器官からの求心性刺激,または筋収縮が原因であるかもしれない。