高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
Online ISSN : 1880-6554
Print ISSN : 1348-4818
ISSN-L : 1348-4818
ワークショップ I : 失語症の回復メカニズム
失語症―非訓練例のデータ解析
前島 伸一郎岡本 さやか園田 茂大沢 愛子
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 34 巻 3 号 p. 298-304

詳細
抄録

  言語聴覚療法の黎明期を振り返るとともに, 諸外国における失語症非訓練例の自然回復経過や, 我が国における非訓練例すなわち言語聴覚士不在などのために, 十分に言語聴覚療法を受けることができなかった失語症の経過について再検討を行った。失語症の回復には, 発症時の年齢や重症度, 性別, 病態, 脳卒中の既往, 失語症タイプ, 病変の大きさや局在などが関与するが, これらはあくまで訓練例での検討であり, 非訓練例での検討では我が国および諸外国の先行研究からも明確ではない。すなわち, 失語症の自然回復は個人差が大きく, 統一された傾向がない。失語症に対する言語治療のエビデンスを示すことは困難かもしれないが, その効能は言語に対するものだけでなく, コミュニケーション能力向上としての役割が大きいと考える。

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top