高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
高次脳機能障害者に対する農園芸プログラム可視化の有効性~能力表, 難易度表導入に関する検討~
野村 心甲斐 祥吾引地 由香理芝尾 與志美本田 昇司中島 恵子
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2014 年 34 巻 4 号 p. 385-393

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抄録

  農協共済別府リハビリテーションセンター (以下当センター)障害者支援施設「にじ」では, 高次脳機能障害者に対して様々な訓練プログラムを提供している。しかし, 病識の低下を呈したケースでは, 訓練の導入・継続に難渋する。そこで, プログラムの一つである農園芸訓練において高次脳機能と作業内容・難易度との関連性について記載した能力表と難易度表を作成した。能力表は作業内容とそれに必要とされる身体機能・認知機能に分類し, 写真とともに呈示した表である。難易度表は 1. 注意・情報処理, 2. 記憶・遂行機能, 3. 上肢・手指機能, 4. 下肢・バランス機能に区分して作業の難易度別に階層的に配置した表である。これらの可視化した表を用いた結果, 現実検討の機会を得て, 目標の再設定から社会復帰へと繋がった症例を経験した。今回作成した能力表・難易度表はセルフフィードバックの機会をより高め, 障害への気づきおよび訓練目的の理解を深める効果があると示唆された。

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© 2014 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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