高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
前脳基底部健忘症例, および視床性健忘症例に対する「reality orientation & self-awareness video」を用いた 認知リハビリテーション
大森 智裕穴水 幸子加藤 元一郎谷合 信一
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2016 年 36 巻 2 号 p. 276-285

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抄録

  病識欠如を伴う重度前脳基底部健忘症例および視床性健忘症例に対して, 過去の訓練場面における自己の活動動画を, 訓練後に視聴させるという方法を用いた認知リハビリテーションを試みた。訓練は, パソコンを用いた視聴訓練を主とした。視聴させる内容は, 発病に関する知識的情報や季節に関するイベントをその時季に応じた画像や音楽で提示する前半部 (reality orientation) とケースのリハビリテーション訓練場面の自己活動動画である後半部 (self-awareness video) から成る。認知リハビリテーションの結果, 両例ともに, 病識を含めた自己認識の改善の後, 前向性記憶が改善する過程を経たが, その改善程度や要した期間は異なった。「reality orientation & self-awareness video」視聴訓練は, 疾患特性によって改善に差はあるものの, 病識欠如を伴う重度記憶障害例に対して, 健忘に対する「気づき」を促進し, その後の自己想起の改善に繋がる可能性が示唆された。

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© 2016 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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