高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
Online ISSN : 1880-6554
Print ISSN : 1348-4818
ISSN-L : 1348-4818
ワークショップ II : sense of agency パラダイムによる新たなリハビリテーション戦略―運動麻痺から高次脳機能障害まで
一人称視点による模倣運動を利用した運動・感覚リハビリテーション
須藤 珠水会津 直樹大内田 裕出江 紳一
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 36 巻 3 号 p. 426-431

詳細
抄録

  近年, 脳神経科学の進歩により, 主観的な意識的経験も科学的研究対象として扱われるようになってきた。リハビリテーションの臨床場面で, 思い通りに麻痺肢を制御できないことが, 麻痺肢における身体所有感の低下を導き, さらなる使用頻度の低下を招くと考えられているが, ここで得られる「思い通りに動かすことができない」という愁訴は極めて私的な感覚で, 外部から観測することが困難であり, また「運動を引き起こす主体がまさに自分である」という運動主体感や「観測している身体が自分のものである」という身体所有感などの私的な意識的経験が運動制御にどのような影響を与えるのかについてもいまだ明らかにされていない。本稿では, 使用頻度に応じて変化する脳の可塑性と, 患側肢の使用頻度上昇を導くようなニューロリハビリテーション手法について概観し, 自己身体認知に関わる知覚を変化させる新たなリハビリテーション戦略について検討する。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top