2017 年 37 巻 3 号 p. 301-307
平成 13 年から始まった「高次脳機能障害支援モデル事業」の後, 平成 18 年から「高次脳機能障害支援普及事業」が開始され, 各都道府県において支援拠点機関の設置が進められた。支援拠点機関としては病院やリハビリテーションセンターの他, 社会福祉法人にも設置されている。
滋賀県は社会福祉法人が支援拠点機関を受託している数少ない県であり, その中で医療機関を持たないということの他, 「社会の中」で本人を捉える支援を考えること, ライフステージに応じ長きにわたり伴走するといった特長があると考えられる。このような中で, 交通事故後の人格変化が激しく脱抑制と内省の難しさにより, 万引きなど触法行為を繰り返す 50 代男性の事例を通し, 支援拠点機関を担う社会福祉法人として社会的行動障害が強く表れる方に対し支援者ができたことと今後の課題について考察を行いたい。