高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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シンポジウム III : 日本語話者における発達性ディスレクシア (発達性読み書き障害)
発達性ディスレクシア (発達性読み書き障害) の背景となる認知障害─年齢対応対照群との比較─
宇野 彰春原 則子金子 真人粟屋 徳子狐塚 順子後藤 多可志
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2018 年 38 巻 3 号 p. 267-271

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抄録

  発達性ディスレクシアでは, 読みだけの障害例は 40 年近く報告されていない。音読だけでなく書字にも障害が認められることから発達性読み書き障害と翻訳されることが多い。その背景となる認知障害について, 英語圏での音韻障害仮説を中心とする報告および他言語における共通点と相違点について解説し, 日本語話者の発達性ディスレクシア 84 名のデータに関して解説した。その結果, 日本語話者の発達性ディスレクシア児童・生徒の 65% 以上は複数の認知障害の組み合わせで生じており, 音韻障害のみが背景と思われる群は 20% 以下であり, 音韻障害のない群は 20% 以上とむしろ音韻障害を認めない発達性ディスレクシア例が多いことが分かった。

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© 2018 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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