2022 年 42 巻 2 号 p. 145-149
福島県では, 2019 年より失語症者向け意思疎通支援者養成事業を開始した。この事業の展開状況は地域差が大きいが, 失語症支援充実のためには, 言語聴覚士会, 失語症当事者団体, 行政の三者の協力連携が欠かせない。本稿では, 言語聴覚士会の立場から福島県における失語症支援の実践について紹介した。①支援者養成講習会 : 2019 年度は修了者 22 名,2021 年度は, 感染対策と各地のバランス良い支援者養成を重視し 4 会場で 10 名が修了した。②失語症友の会支援 : 毎年福島県失語症者のつどいを開催しており,コロナ禍では支援者養成外出同行支援実習とつどいを兼ねたコンサートや,オンラインでのつどい開催を試みた。③行政との連携 : 共生社会の実現の枠組みで失語症が広く理解されるよう講演会や説明会を開催した。今後の失語症支援の展開に向けて, 派遣の体制づくり, 支援者フォローアップ, 認知度向上に取り組み, 地域のネットワークを広げていきたい。