人間生活文化研究
Online ISSN : 2187-1930
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報告
学習に困難のある学生への全学的支援体制の構築に関する研究
-教員アンケート調査結果を通して-
成瀬 道子大原 佳子松本 玲子
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2013 年 2013 巻 23 号 p. 230-241

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抄録

大学全入時代における学生の多様化に伴い,学習に困難のある学生が高等教育機関に入学する数も増加している.本研究では,より充実した支援体制構築のための方向性を検討するため,教員対象のアンケート調査を実施,705名中217名から回答が寄せられた.このうち専任教員は57名,非常勤講師は159名,無回答1名であった.調査の結果,専任教員の57.9%が指導上の困難を感じる学生に出会った経験があると回答しており,非常勤講師の27.0%を大きく上回った.専任教員が困難を感じる領域は,学生の「精神症状」「修学」「学習能力」の問題であった.また,学生から学習以外のことで相談を受ける回数,学生相談センターとの連携協力をした経験,および今後の連携協力を望む割合も,専任教員が非常勤講師を大きく上回る結果となった.学生相談センターに期待される役割は,学生へのカウンセリングや,個々の事例に沿った教員に対する助言・コンサルテーションが多数を占めており,「心の専門家」としての個別対応に大きな期待を寄せられていることが明らかとなった.大学に対しては,TAやチューターの導入,少人数制の授業,個別指導の実施など,本学の特色を生かした「きめの細かい」学生支援体制が求められていることがわかった.

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© 2013 大妻女子大学人間生活文化研究所
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