人間生活文化研究
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原著論文
女子大学のキャリア教育における参謀型人材の育成
井上 俊也
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2014 年 2014 巻 24 号 p. 1-21

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抄録

企業等の組織にはリーダー型人材だけではなく,参謀型人材,エキスパート型人材,実務家型人材が存在する.大学等の高等教育機関ではリーダー型人材の育成が中心であり,大学以外の教育機関ではエキスパート型人材,実務家型人材の教育もあるが,参謀型人材の教育は数少ない.働く女性と男性が望む人材像を調査したところ,男性においてはリーダー型志向が高いが,女性においてはリーダー型人材への志向は1割未満であり,実務家型人材,エキスパート型人材志向が高いが,参謀型人材志向も2割程度ある.また,働く女性と男性とでは現在有用であると考える「能力」「知識」「資格」,今後学びたいと考えている「能力」「知識」「資格」にも大きな差があり,これは現在において女性と男性の働く立場,職種などに大きな差があることを意味している.働く女性の参謀型人材が有用と考える「能力」「知識」「資格」については,「能力」のうちのヒューマンスキルについてはリーダー型人材に近く高いが,他の能力であるコンセプチャルスキル,テクニカルスキル,知識,資格については他の人材に比べて低い数字となっており,女性の参謀型人材における強みはヒューマンスキルである.大妻女子大学で同じ調査を行ったところ,大学生が志向する人材像のトップは参謀型人材であり,4割近い.これは良妻賢母というイメージの強い女子大学において良妻賢母が家庭における参謀であるととらえているからであろう.しかし,彼女たちが学びたいと考えている「能力」「知識」「資格」に関しては,働く女性の中で実務家型人材,エキスパート型人材が有用と考えているものが多く,目指す人材像において必要な「能力」「知識」「資格」と大学生が学びたいと考えているものとの間に大きなミスマッチが生じている.このミスマッチを解消すべく,キャリア教育のプログラムである大妻マネジメントアカデミーでの参謀型人材育成のプログラムについて提言している.

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© 2014 大妻女子大学人間生活文化研究所
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