2025 年 2025 巻 35 号 p. 133-145
本稿では,新約聖書「テサロニケ人への第二の手紙」の構造分析を通じ,非異郷訪問譚に裏返し構造がみとめられる蓋然性を検証するものである.まず本稿では,新たなキアスムスのモデルを提案した.このモデルは6組の対応要素からなり,要素間の逆順配列と対立・否定関係の両方が認められるため,裏返し構造の要件を満たすことが明らかとなった.本研究の結果,新約聖書27巻中16巻において裏返し構造が確認される知見が得られた.本稿の知見は,非異郷訪問譚に裏返し構造が出現する蓋然性の高さを支持するものである.