人間生活文化研究
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短報
対人恐怖心性が高い大学生の本来感および対人ストレスコーピングに影響を及ぼす要因の検討
―メンタライジング能力に着目して―
信田 美咲
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2026 年 2026 巻 36 号 p. 28-48

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抄録

 本研究では,「メンタライジング能力(自他の行動の背景にある精神状態を推察する能力)」が,対人恐怖心性の高い大学生の適応維持・促進にどのように機能するかを,量的観点から検討することを目的とした.適応の評価においては,外的適応と内的適応のバランスが重要であることから,外的適応指標として「対人ストレスコーピング(対人ストレスへの対処方略)」を,内的適応指標として「本来感(中核的な自分らしさの程度)」を採用し,分析を行った.分析の結果,メンタライジング能力の向上は,大学生の対人恐怖心性を軽減し,本来感を高め,対人ストレスへのポジティブな対処行動を促進する上で有益に働くことが示唆された.特に,メンタライジング能力のなかでも「自己に対するメンタライジング能力」は,本来感の高さを予測する変数であることが明らかになったほか,対人恐怖心性と対人ストレスへのネガティブな対処行動の間接的な低減にも寄与する可能性が示唆された.さらに,対人恐怖心性が高い大学生をメンタライジング能力の差異で分類した結果,対人恐怖心性が高い大学生の中には,メンタライジング能力における一部の下位尺度得点(他者に対するメンタライジング能力とメンタライゼーションへの関心)が高い1群が存在したが,それら2つの能力が高くても「自己に対するメンタライジング能力」が低い場合には,対人ストレスコーピングの選択や本来感の状態に変化がみられない可能性が示唆された.今後はこの知見に基づき,自己に対するメンタライジング能力の向上に焦点を当てた介入研究の実施や,対人恐怖心性が高い大学生のメンタライジング不全を予防するための心理教育プログラムの開発などより実証的な研究を蓄積していく必要がある.

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© 2026 大妻女子大学人間生活文化研究所
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