日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
ISSN-L : 2186-5612
総説
造血幹細胞移植後消化管合併症の病理
伊藤 雅文
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2013 年 2 巻 2 号 p. 37-48

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抄録

造血細胞移植は,前処置の軽減化,有効な免疫抑制療法などにより,良好な移植成績が得られ,移植機会が拡大している。しかし一定の程度,GVHDなどの合併症発生は避けることができない。消化管病変は比較的頻度が高く,しばしば重症化し生命予後に影響を与える。合併症の発症には移植免疫にかかわるさまざまな病態が関与し,その確定診断には病理組織学的実証が重要である。本稿では,移植後の腸管合併症について,移植免疫に伴うアロ免疫反応としての消化管GVHD 病変と,我々のグループが明らかにしてきた移植後微小血管障害による虚血性腸管病変(intestinal type transplantation associated microangiopathy:i-TAM)について,それぞれの病理組織学的所見と形態的観点からみた発生メカニズムについて概説する。

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© 2013 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
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