2014 年 3 巻 3 号 p. 79-85
同種造血幹細胞移植患者に対するリハビリテーション(リハビリ)の効果は,運動機能・QOLを維持改善することが欧米で報告され推奨されている。今回,本邦におけるリハビリの現状を把握し,今後の在り方を検討するために全国調査を行った。対象は,小児科を除く同種造血幹細胞移植件数が年間5件以上の128施設とし,調査は2010年8月に郵送による質問紙調査を実施した。回答は80施設からあり,そのうち記載上の不備等を除いた77施設(有効回答率60.2%)について分析を行った。リハビリを全症例に導入している施設は27施設(35.1%),PS低下症例に導入している施設は13施設(16.9%),非導入の施設は37施設(48.1%)であった。非導入の理由としては,「リハビリ科の人員不足」が15施設(40.5%)と最も多かった。本邦における同種造血幹細胞移植患者に対するリハビリの普及は十分とは言えず,今後の普及促進のためには,ガイドラインに基づいた標準的なリハビリプログラムの確立が急務である。