2016 年 5 巻 3 号 p. 102-106
症例は急性骨髄性白血病の7歳男児で,HLA一致同胞から同種骨髄移植後を施行したが,9か月後に再発した。FLAG療法を2コース行なったが非寛解であり,いずれの治療コース後にも緑色連鎖球菌敗血症に罹患した。その後,HLA半合致の父親から同種末梢血幹細胞移植を行なった。前処置は全身放射線照射(9.9Gy), fludarabine(120mg/m2),GVHD予防は移植後シクロフォスファミド(PTCy),タクロリムス,ミコフェノール酸モフェチルを用いた。移植翌日には高熱を認めたが,PTCy投与後速やかに解熱した。Day 18で好中球生着し,急性GVHD,粘膜障害共にGrade Ⅰであった。移植後第4寛解に達し,QOLを保ちつつ移植後6か月経過している。小児領域ではPTCyを用いたHLA半合致移植の報告はいまだ非常に少ないが,毒性が少なく,QOLも改善維持する可能性のある有用な移植法の一つと考えられた。