日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
ISSN-L : 2186-5612
総説
造血幹細胞移植とリハビリテーション
石川 愛子辻 哲也
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2016 年 5 巻 4 号 p. 107-117

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抄録

 造血幹細胞移植患者(以下,移植患者)は,治療や合併症により身体的,心理的,心理社会的苦痛や生活の質(QOL)の低下を経験する。移植前はそれまでの化学療法による薬物有害反応や疾患自体により,移植前処置や移植後には合併症やその治療などにより,身体活動量は低下する。身体不活動状態が続くと,倦怠感の増大とともに廃用症候群が進行し,筋力や運動耐容能は低下しやすい。運動療法を中心としたリハビリテーション介入によって,身体機能の向上だけでなく,がん関連倦怠感など症状の緩和やQOLの改善が期待できる。運動療法はストレッチング,筋力トレーニングおよび有酸素運動が推奨されている。その内容に関しては,週に3~5日で週150分以上(中等度負荷の場合)の有酸素運動を,毎日のストレッチング,週2~3回の筋力トレーニングとともに行うべきである。これまで,移植前後の運動療法による有害事象の有意な増加は報告されていない。

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© 2016 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
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