2017 年 6 巻 3 号 p. 142-145
HBV既感染患者において造血幹細胞移植後にHBVが再活性化しde novo肝炎を生じることが知られている。今回,同種移植後にHBV再活性化を認め,re-seroconversionまでの推移を追跡した症例を報告する。患者は39歳,男性。骨髄異形成症候群(RAEB-1)に対してHLA一致同胞の姉より同種末梢血幹細胞移植を実施した。患者はHBV既感染,ドナーは未感染であった。移植後12か月目にHBsAbが消失したためentecavir(ETV)の予防投与を開始した。以降HBV-DNAは陰性が持続しcyclosporineも中止しえたため10か月間の投与後ETVを中止した。移植後2年目にHBVワクチンを2回接種したが,移植後2年5か月目に再活性化を認めETVを再開した。ETV開始後2か月目にHBV-DNAは陰性化,4か月目にはHBsAbが陽性化しre-seroconversionに至った。