日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
症例報告
慢性移植片対宿主病の臨床経過で発症した重症筋無力症
長井 恵坂田 尚己上田 悟史上田 素子岡野 意浩岡田 満竹村 司
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2017 年 6 巻 4 号 p. 157-161

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抄録

 12歳,男子。8歳時に再生不良性貧血(再不貧)最重症型の診断で,HLA一致の妹より骨髄移植を施行した。急性GVHD(皮膚,腸管,grade Ⅲ)を認め,特に消化管症状のコントロールに難渋し,種々の免疫抑制剤等で加療中の移植後268日に移植関連微小血管障害を発症した。その後,移植後1年11か月頃より苔癬様の皮疹が四肢中心に出現し,血清IgG値2,172mg/dL,リウマトイド因子や抗核抗体が陽性となり,皮膚慢性GVHDと考えられた。Prednisolone(PSL)で加療し漸減中に,嚥下障害,眼瞼下垂が出現した。抗アセチルコリンレセプター抗体が検出され,テンシロンテストも陽性で重症筋無力症(myasthenia gravis,MG)と診断した。四肢や体幹の筋力低下も認め,cyclosporine,PSL,pyridostigmine,ガンマグロブリン大量療法により軽快した。骨髄移植後のMGは,慢性GVHD治療中の免疫抑制剤漸減中に発症しやすく,再不貧例に多いこと,胸腺腫を伴わないこと,特定のHLAを持つ患者に多いことなどの共通の臨床的特徴を認める。

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© 2017 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
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