日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
ISSN-L : 2186-5612
総説
高齢者同種移植の進展と将来展望
吾郷 浩厚
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2018 年 7 巻 3 号 p. 73-81

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抄録

 本邦は先進国およびアジア諸国の中で最も高齢化の進んだ国の一つであり,高齢の血液悪性腫瘍患者は年々増加している。またRIC等移植技術の進歩により移植適応年齢上限は着実に高くなってきている。さらに欧米の高齢者の移植成績は確実に向上が見られており,年齢のみでの移植適応の上限は最早ないと考えられている。一方日本における造血幹細胞移植の2015年の年次統計においても,高齢者移植は年々増加し本邦における造血幹細胞移植の大きな流れになってきていることを示している。しかし本邦では高齢者移植は正面から研究テーマとしてはほとんど取り上げられてこなかった。したがってその適応から至適前処置,至適ドナーソース,免疫抑制のありかたをはじめ,cost-effectiveness等解決すべき課題は極めて多い。我々はこの分野のエビデンスを早急に作り上げ国内外に発信していくことが求められている。

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© 2018 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
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