2018 年 7 巻 4 号 p. 125-131
【背景】妊孕性の低下は,造血細胞移植患者のQOLに大きく関わる切実な問題の一つである。しかし,最も妊孕性低下リスクの高い造血細胞移植患者に限られた医療者や患者への実態調査はこれまで報告がない。【目的】当病棟における医師あるいは看護師からの情報提供の実態と患者のニーズを知り,その中での看護師が今後担える役割を検討する。【方法】2011年から2014年に当病棟で移植を受けた患者37名と医師10名,看護師20名に自記式無記名質問紙調査を実施した。【結果と考察】ほとんどの医師が全ての患者に情報提供していると考えていたのに対し,情報提供を受けたと認識している患者は72%にとどまった。多くの患者は主治医より早期の説明を望んでいた。看護師はこれまでのところ十分な介入ができていなかった。看護師は患者の妊孕性に関する情報を把握し,医師と患者間の調整役を担い,確実で十分な情報提供と意思決定支援を行う必要性が示唆された。