2020 年 9 巻 1 号 p. 40-45
造血幹細胞移植の前処置には様々な抗がん薬が使用されており,抗がん薬により皮膚障害を生じることが報告されている。特に,手足症候群(hand-foot syndrome,HFS)は,抗がん薬使用により起こる代表的な皮膚障害である。今回,当施設で造血幹細胞移植前処置開始から骨髄抑制期に発現するHFSについて検討した。2011年1月から2015年12月までに当施設で同種造血幹細胞移植術を行った151名を対象に,HFSの発現について診療記録と看護記録から後方視的に調査した。HFSの発現は90例(59.6%)で認められ,total body irradiation 12Gyとフルダラビン/ブスルファンを用いた前処置は,フルダラビン/メルファランを用いた前処置に比べてHFSの発現頻度が,統計学的に有意に高かった。今回の結果を受けて,前処置ごとに患者に対して最適なスキンケアのセルフケア支援や看護支援を検討する必要がある。