2020 年 9 巻 3 号 p. 83-92
【目的】患者用栄養パスを用いた造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation,HSCT)における喫食率の有益的側面を検討する。【方法】静岡がんセンター血液・幹細胞移植科において2019年1月から2019年12月までにHSCTを受け患者用栄養パスを適用した症例を対象にした。前処置前から経静脈栄養(parenteral nutrition,PN)終了まで喫食率の関連因子を評価した。【結果】10例(女性3例)の喫食率の中央値61.3%(範囲:34.0~90.9),経口摂取熱量の中央値11kcal/標準体重: kg/day(範囲:7~22),PN期間の中央値33日間(範囲:15~60)であり,喫食率と経口摂取熱量およびPN期間は関連していた(r=0.75;P=0.012,r=-0.65,P=0.044)。経時的な栄養関連有害事象と喫食率および経口摂取熱量は負の相関を示していた(r=-0.57;P<0.001,r=-0.62;P<0.001)。【結論】患者用栄養パスを用いたHSCTにおける喫食率には臨床上の有益的側面があると考えられた。