2008 年 17 巻 p. 47-61
「臨床の知」の源泉をフロイトと精神分析に求め、そこに潜む問題を検討する。そのためフロイトとフロイト主義における精神分析の科学的位置づけの変容を思想史的に考察し、教育との連関を探る。各章では、それぞれ次の課題が検討される。(I)S・フロイトにおいて精神分析は、自然科学/精神科学の区分に対してどのように位置づけられるか。(II)フロイトの理論的後継者H・ハルトマンが、精神分析を「自然科学化」「発達心理学化」したことによって、精神分析にいかなる変化が起きたのか。(III)フロイトからフロイト主義に至る精神分析の科学性の変容は、精神分析と教育との関係に何をもたらしたのか。