近代教育フォーラム
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教育の思想研究と歴史研究の結合(コメント論文,検証:思想運動としての教育思想史学会-私たちには何ができたのか/できなかったのか-,シンポジウム)
川瀬 邦臣
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2009 年 18 巻 p. 165-172

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抄録

4人のシンポジストの発表内容を私なりに要約すれば、本学会の使命(原点)の再確認(原)、教育現実との関連を深める研究の要請(広田)、「知的創造のためのトポス」のさらなる拡充(山内)、「自明性の地平の対象化」という課題の達成のための教育思想史の探究(今井)、と整理できよう。本学会の原点を (1)教育の近代性(「近代問題」)の解明、(2)近代教育の哲学的・思想的研究と歴史的研究の結合、(3)「相互の批判の有効性と重要性」を豊かに保証する場の創造、の3点と捉え、4人のシンポジストの提案論文に対してこれらの3つの観点に即して私なりの「評価」を試みた。そのうえで、創立以来の本学会の研究活動には(2)の観点での成果が欠落していることを指摘し、とりわけ歴史的研究の賦活を通して教育思想史研究本来の課題の達成こそが求められることを強調した。

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