近代教育フォーラム
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教育学的保守主義を埋葬する : 教育思想史はなぜ「危機の思想家」中心史観に囚われるのか(報告論文,シンポジウム1 社会の構想と道徳教育の思想-源流から未来を展望する-)
岩下 誠
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2015 年 24 巻 p. 74-83

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抄録

経験的なデータから見る限り、現在の日本の子ども・若者が「道徳の危機」に陥っているという主張には根拠が全くない。しかし、実証的な根拠を欠いた「危機の言説」は、道徳教育推進派だけでなく、教育思想史学会に代表されるようなポストモダン教育学も共有する前提となっている。本稿では「危機の言説」を前提とするイデオロギーを「教育学的保守主義」と呼び、それが現在の教育を認識する際だけではなく、過去の教育思想を評価し再構成する際にも作用し、教育思想史の枠組みを規定していることを示す。併せて、こうした教育学的保守主義のイデオロギーが、過去と現在双方を解釈する際に、道徳教育推進派とポストモダン教育学双方に根本的な誤謬をもたらすこと、またそのことによって、両者こそが短慮な「教育改革」の推進に棹差し、むしろ「教育問題」を生み出す元凶になっていることを示す。

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