人文地理学会大会 研究発表要旨
2004年 人文地理学会大会 研究発表要旨
セッションID: 306
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広域市町村圏による介護保険サービスの展開と施設の利用実態
群馬県利根沼田圏域の事例
*畠山 輝雄
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抄録

2000年4月に介護保険制度が施行されたことにより,全国で介護サービスの需要が高まり,それに伴い多くの介護保険施設が新設された。このことから,介護保険サービスの供給量も急激な増加をみせている。しかし,全国で介護サービス供給の地域格差が生じている。 非都市部の自治体では,財政的にも恵まれず,また高齢化率は高いものの,絶対数では少ないことから,営利法人やNPO法人の参入はほとんどみられず,介護サービス供給の基盤が脆弱である。そのため,このような自治体では広域的なサービス供給が求められる。 本発表では,財政的,地理的理由から広域市町村圏でサービス展開を行っている事例として,群馬県利根沼田圏域を取り上げ,介護保険サービスの展開と介護保険施設の利用実態を分析することで,これらの地域における介護保険サービス供給の問題点を明らかにする。 利根沼田圏域では,広域的な介護保険サービスの展開を図っており,入所施設では圏域全体として,広域的にサービスが行われている。しかし,通所サービスや訪問サービスなどの在宅サービスでは,送迎や高齢者宅への訪問において,距離的,時間的制約があるため,圏域全体としての広域的なサービスの展開には限界がある。つまり,各自治体が自立した介護保険運営を行う必要がある。 しかし,沼田市,東部地域,西部地域の3地域間においてサービス基盤の格差が生じている。このことから,隣接自治体との連携によるサービスや地域の特性,需要を考慮した施策の展開が有効であり,これらの調整,補助役としての働きが,広域市町村連合および一部事務組合には求められる。

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