日本の大都市では,従来さほど注目されてこなかった地区が,新たに集客力を持つ商業空間として更新されていく事例がみられている。例えば大阪市でも,中崎町,福島界隈,阿倍野界隈などといった地区が例として挙げられる。本発表では,_丸1_大阪市阿倍野区阿倍野筋西側,_丸2_東側,_丸3_昭和町界隈という同じ区内の3つのエリアを対象として,旧ターミナル型商業地と旧郊外型住宅地が近年注目される商業地へと更新される過程を明らかにする。同地区では,阿倍野筋西側の官主導の大規模な再開発,東側の百貨店が牽引する民間主導型の開発と小資本経営者の参入,昭和町の地元住民とクリエイターの手によるリノベーションといった三者三様の空間変容が隣接したエリアで同時に進んでいる。対象地区が歴史的にどのような経緯をたどり,どういったアクターがそれを牽引したか検討し,考察を行う。