人文地理学会大会 研究発表要旨
2010年 人文地理学会大会
セッションID: 212
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第2会場
スイスの世界遺産ユングフラウ-アレッチ-ビエッチホルンの自然保護と観光業の推進
*池永 正人
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抄録

 スイスの世界遺産ユングフラウ‐アレッチ‐ビエッチホルン(略称:JAB)は,2001年12月にアルプス山脈で初めて世界自然遺産に登録された。2007年には指定区域が拡大され,26自治体にまたがる面積824 k_m2_の領域となった。この領域の57%がヴァリス州(18自治体),43%がベルン州(8自治体)に属する。  JAB世界遺産は,現代の地球規模の気候変動,自然保護と観光開発のあり方などを考えるうえで,示唆に富んだものとして評価された。そこで本研究では,JAB世界遺産の自然保護と観光業の推進について,以下の内容を明らかにした。  1.世界自然遺産に登録された理由  2.保護と開発の経営計画  3.気候変動の観察地および観光資源としての価値  JAB世界遺産の魅力的な自然景観と文化景観は,多数の人々の積極的な参加によって保護されている。JAB世界遺産地域の発展において,最も重要視されているのが観光業の推進である。世界遺産の学術・芸術的価値に加え,観光資源としての価値を維持し一層高めるためには,伝統的なアルプ農業の営みによる土地の管理が不可欠である。このことは生態系を維持し,雪崩・洪水など自然災害の軽減に通じる。

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