比較生理生化学
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技術ノート
小型記録計・発信機を用いた魚類の行動・生理解析
牧口 祐也青木 良徳北川 貴士
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2014 年 31 巻 3 号 p. 113-118

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抄録

バイオロギングとは,動物に計測機器(データロガーや発信機)を装着し,人間が直接観察することができない行動・生理情報を環境情報と同時に記録する手法のことである。近年のマイクロエレクトロニクスの発達に伴い,機器の小型化が進み,本手法の魚類への適用が可能になってきた。また,センサの多様化に伴いさまざまな計測項目の測定,例えば,体温,筋電位,心電図,脳波など生理情報を取得することが実現されつつある。これにより,野外での魚類の生理的情報の収集が可能になり,彼らの行動を,周囲の環境といった外的要因に対する内的反応を介した応答として理解することが可能になった。そこで本稿では,バイオロギングを用いた魚類の行動学・生理学的研究に焦点を当て,研究事例(クロマグロの行動的体温調節,筋電位発信機を用いたサケの遡上行動,心電ロガーを用いたサケの産卵行動解析)について紹介し,今後の応用について述べる。

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© 2014 日本比較生理生化学会
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