比較生理生化学
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総説
セリン/アスパラギン酸ラセマーゼの構造と機能の進化
宇田 幸司
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33 巻 (2016) 2 号 p. 68-76

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抄録

 タンパク質を構成するアミノ酸は,グリシンを除いて全てL体である。そのため,生物はアミノ酸の2種類の光学異性体のうちL体のみを選択的に利用していると長年考えられてきた。しかし,近年様々な動物に遊離型のD-アミノ酸が存在することが報告され,それらが生理機能をもつことが明らかになってきた。一方で,動物での遊離型D-アミノ酸の広範囲な分布とは異なり,D-アミノ酸の合成酵素であるアミノ酸ラセマーゼは,非常に限られた生物種でしか発見されていなかった。我々は,D-アミノ酸の存在同様,アミノ酸ラセマーゼも動物界に広く分布して存在するのではないかと考え,その遺伝子の探索を進めた。まず,哺乳類から報告されていたセリンラセマーゼのホモログ遺伝子を複数の動物門の生物から単離し,その酵素機能を確認した。その結果,動物に広く存在するセリンラセマーゼのホモログは,セリンラセマーゼ,またはアスパラギン酸ラセマーゼとして機能し,セリン/アスパラギン酸ラセマーゼファミリーを形成することがわかった。本稿では遊離型D-アミノ酸の分布と生理機能,セリン/アスパラギン酸ラセマーゼの構造と機能の進化について紹介する。

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© 2016 日本比較生理生化学会
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