主に 30 Gy/3分割/3日間の分割による定位放射線治療(SRT)を加えた聴神経腫瘍 19例,20病変の成績を検討した.SRT 後の MRI で2mm 以上平均腫瘍径(MD)が増加,或いは腫瘍による神経症状が発現した場合を非制御とすると,3,5年臨床的腫瘍制御率(CTCR)は,各々 75%(12/16),61%(8/13)であった.合併症は軽度の三叉神経障害を1例で認めた.腫瘍サイズと性状別に成績をみると,MD が中央値未満か solid type の腫瘍では5年 CTCR は各々 100%(7/7),89%(8/9)と良好で,腫瘍は徐々に縮小する傾向を示した.一方 MD が中央値以上ないし cystic type の腫瘍では,5年 CTCR は各々 17%(1/6),0%(0/4)と不良で,縮小はないか一時的で再増大する傾向を示した.しかし救済手術を要したのは 19例中2例に留まった.我々の分割による SRT は,神経系合併症の面では安全だが,比較的大きな或いは cystic な腫瘍の長期制御については,今一度検討の余地があると思われた.