弘前医学
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Print ISSN : 0439-1721
原著
緑内障患者における血中エンドセリン-1濃度の低下と病態への関与
大黒 幾代大黒 浩大黒 博中澤 満
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2006 年 57 巻 2-4 号 p. 59-64

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抄録

目的: 緑内障病態における血中エンドセリン-1 (ET-1) の関与の有無を検討する.
対象と方法: 正常眼圧緑内障 (NTG) 患者 102例,原発開放隅角緑内障 (POAG) 患者 90例および緑内障のない成人 (CONT) 78例を対象に,血中ET-1濃度を enzyme-linked immunosorbent assay法により測定し比較した.また緑内障患者では,病期との関連についても検討した.
結果: 血中ET-1濃度 (平均値 ± 標準偏差) は NTG, POAG, CONT の順にそれぞれ 3.34 ± 1.27 pg/ml, 3.80 ± 1.40 pg/ml, 4.39 ± 1.34 pg/ml で,NTG (P<0.01), POAG (P<0.05) は CONT群に比し有意に低かった.緑内障病期と血中ET-1濃度には明らかな関連はみられなかった.
結論: 緑内障患者では血中ET-1濃度が慢性的に低く,緑内障病態に関与している可能性が示唆される.

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© 2006 弘前医学編集委員会
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