弘前医学
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Print ISSN : 0439-1721
原著
網膜血管閉塞症における足関節上腕血圧比 (ABI) と脈波速度 (PWV) の臨床的意義
大黒 浩下川 良一大黒 幾代石川 太山崎 仁志中澤 満
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2006 年 57 巻 2-4 号 p. 65-70

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抄録

目的: 網膜血管閉塞症における足関節上腕血圧比 (ankle-brachial index: ABI) と脈波速度 (pulse wave velocity: PWV) の臨床的意義について報告する.
対象と方法: 網膜血管閉塞症,高血圧網膜症および糖尿病網膜症患者 106例と年齢・性別をマッチさせた健常対照者 100例を対象に,動脈硬化の指標である ABI および PWV を測定し,病態との関連につき検討した.
結果: 網膜血管閉塞症を有する患者では加齢により ABI値の減少がみられたが,他の網膜血管疾患患者や対照者ではみられなかった.ABI 値は三眼疾患すべてを合併している患者では他の患者に比べて有意に低かった.また,ABI値が 0.9以下の異常値を示した6例中5例は網膜中心動脈閉塞症を発症または発症していた.一方,PWV値は疾患間で差はみられなかった.
結論: 今回の結果は ABI値が網膜血管閉塞症特に網膜中心動脈閉塞症の臨床マーカーとなり得ることを最初に示した研究である.

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© 2006 弘前医学編集委員会
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