目的:正常眼圧緑内障患者におけるカシスアントシアニンの網膜血流に対する作用について検討する.
対象と方法:対象は弘前大学医学部附属病院眼科緑内障外来に通院中の正常眼圧緑内障患者30名である.カシスアントシア ニン錠 (50 mg) を毎日1回,6ヶ月間内服してもらい,血圧,眼圧,血中エンドセリン-1濃度,視神経乳頭および乳頭周囲網膜の血流量,視野障害の程度について,内服期間前後で比較した.
結果:カシスアントシアニン錠の内服により,視神経乳頭および乳頭周囲網膜の血流量は有意に増加したが (p < 0.05),血圧および眼圧には有意な差はみられなかった.また,内服期間後に視野障害の悪化した症例は1例もなかった.さらに,カシスアントシアニン錠の内服により血中エン ドセリン-1濃度は有意に増加 (p < 0.05) または正常化された.
結論:今回の結果から,カシスアントシアニンの内服投与は正常眼圧緑内障患者にとって安全かつ神経保護治療の有力な選択肢に成り得る可能性が示唆される.