病歴の長い糖尿病患者において,アミラーゼ分泌の低下や膵萎縮・線維化を呈する症例があることが報告されている.しかしこのような病態の動物モデルは現在確立されていない.また,終末糖化産物 AGE,その受容体である RAGE は糖尿病血管合併症に関与しているとされているが,膵への影響は不明である.糖尿病における膵外分泌障害とその機序を明らかにするため,加齢により膵ラ氏島の線維化を生じる自然発症2型糖尿病モデル,Spontaneously Diabetic Torii (SDT) ラットに caerulein急性膵炎を発症させ,糖尿病の発症および程度,膵の線維化に変化を生じるか否か,同時に,RAGE の発現を RT-PCR により検討した.結果,膵炎による糖尿病発症および膵の線維化,糖尿病発症前後および膵炎の有無による RAGE の発現に変化は認めず,糖尿病ラットモデルにおける膵障害と RAGE の関連は明らかではなかった.